超音波探傷検査




 溶接部の内部を検査する非破壊検査で代表的なものにはX線検査と超音波探傷検査があるが、建築鉄骨の溶接部はT継手形状やウェブによりフィルムの貼付が難しいため(他にも理由はある)一般に超音波探傷検査が適用される。


1. 超音波探傷検査(UT)の原理

 突合わせ溶接部は余盛があるため通常「斜角探傷法」が適用される。
探傷の原理を図示すると図1のようになる。探触子から入射された超音波は欠陥があればそこから反射して戻ってくるので、欠陥を検出することができ、入射してから戻ってくるまでの時間を測定すれば、探触子から反射源までの距離を知ることができる(距離=音速×時間)。この場合、探傷器のCRT(ブラウン管)には図2のように表示される。CRTの横軸は探触子か ら反射源までの距離を示し、縦軸は反射して戻った超音波の強さを表している(エコー高さと いう)。

                図1                                 図2


2. 欠陥位置の求め方

  Yはスケールで測定しWはCRTから読み取る(図3)。
  欠陥の位置は次の計算式で求めることができる。

      d=W×cosθ
      k=Y-W×sinθ

  θ(屈折角)は通常は公称70゜を用い、予め実測しておく。

           図3


3. 欠陥の判別とエコー高さの測定

 CRTに現れたエコーが欠陥か欠陥でない(形状エコー)かは反射源とエコー高さによって判断する。反射源は2項のdとkから求められ、それが溶接部内であれば溶接欠陥とする。
 欠陥エコー高さについては、超音波探傷装置を次の手順で調整した後、測定する。
 標準試験片STB A2またはA3の直径4mm深さ4mmのドリル穴に超音波を当てて、そのエコー高さをCRT上で結んだ線をH線とする(図4)。H線の1/2(-6dB)のエコー高さをM線とし、1/4 (-12dB)をL線、2倍(+6dB)をU線とする。これを「エコー高さ区分線」と呼び探傷前に作成しておく。T〜Xを「エコー高さ領域」という(図5)。
 探触子を走査して実際に探傷した結果、このエコー高さ領域においてL線を超えるエコーを欠陥とする(L線以下のエコーは日本建築学会UT規準では合否判定の対象としない)。


               図4                                図5



4. 欠陥の長さの測定

  欠陥が検出された場合、溶接線方向に探触子を移動してエコー高さがL線を超える範囲を 「欠陥指示長さ」とする(欠陥実長の推定値とする:図4)。

                 

                 図6


5. 溶接線の合否判定

  溶接線の合否判定は欠陥のエコー高さと欠陥指示長さによって判定する。
  日本建築学会UT規準では、溶接線の合否判定は次の4とおりに分類されている。

  (1) 疲労を考慮しない溶接部で、溶接部に引張応力が作用する場合
  (2) 疲労を考慮しない溶接部で、溶接部に引張応力が作用しない場合
  (3) 疲労を考慮して表面仕上げされた溶接部の表面に近い欠陥
  (4) 疲労を考慮して表面仕上げされた溶接部の内部の欠陥

  特記のない場合、JASS6では(1)の「疲労を考慮しない溶接部で、引張応力が作用する場合」 の合否判定を適用するように規定されている

7. 検査員の資格

超音波探傷検査の資格には次のものがある。

・(社)日本非破壊検査協会(NDI) 非破壊検査技術者技量認定 3種,2種,1種
・日本鋼構造協会 建築鉄骨品質管理機構  建築鉄骨超音波検査技術者(旧全構連資格)


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